月別アーカイブ: 2015年6月

2015/6月

2015-6 たまに来て、立ち込める霧の中も別世界の風情があっていいですね。でも今日は寒いです(19日)。
きのう来て、新緑の5月もよいけれど、姫沙羅の花が地面を敷き詰める6月もなかなかだと思いました。
今回文庫便りにちりばめてしまったのですが、私は白い花が好きです(東京でも、クチナシ、白ぼたん、ハナミズキみんな白)。
今年はどこへ行っても紫陽花が早くから様々な色で目を楽しませてくれましたが、やはり白がいい。
Fさんが植えてくれたアナベルを門わきだけでなく庭の奥にみつけて嬉しくなっています。せっかくの白もっこうが昨年秋の台風で犠牲になったので、また伸びるのを待っています。

ところで、バラも好きなのですが、東京からおはなし会を聴きに来てくれた友人に誘われてはじめて5月に河津のバラ園に行ってきました。
意外と狭いのですね。そこでも、様々なバラのかたちと匂いを楽しみました(特に白を)。
ここらで談義はやめにして、60有余年、ありがたいことに健康を維持してきて、70の坂を超えた途端、体がしゃきっとしないことに戸惑っています。肩の手術からこの月末でちょうど1年。ここで気力挽回と行きたいところなのですが。
5月はおはなし会の参加者もいつもより多く、また、熱心に聴いて褒めてくださった方がいたそうで、語り手も語りがいがあったと思います。励みになります。
7月は19日(日)高原駅で海の日のおはなし会です。文庫の子どもたちも、東京以北からの常連語り手たちも15周年で張り切りますので、ぜひぜひ聴きにいらしてください。
社会全体きなくさい感じです。しっかり自分で判断できる目を持ちたいですね。西村

2015/5月

2015-5 GWは如何でしたか?ご旅行なさった方、お子さん、お孫さん、お友だちで賑わった方それぞれお楽しみだったことと思います。
当方、北海道に1週間も居座っていたため、帰ってから大忙し。でも北海道の北半分を廻ったのですが、気候が爽やかで野も山も海もいっせいに春爛漫でした。えぞ山ざくら、えぞ紫つつじ、水芭蕉、チューリップ、芝桜…。
また一日ひとりで歩き廻った網走の監獄博物館と北方民族博物館はとても興味深く人間の知恵と歴史に考えさせられました。
台湾から里帰りしている嫁さんと2人の孫にちょこっと会って一昨日こちらへ来ました。
勝手に企画したアートフェスティバルの準備もスタッフに助けられて、何とか明日の開館に間に合いそうです。
今回は、静岡県にゆかりの作家の本を読んで紹介文を作るという結構しんどい作業をスタッフの何人かに依頼しました。
みなさん、頑張ってくれてとても佳いものができました。ぜひご一読ください。ゆかりの作家著書の展示台にあります。
地元に住まう中山千夏さんが古事記関係書をたくさん出しておられて、それがらみで紹介しようと考えるも、時間不足と生半可では書けないと今回断念。
いつもアートフェスティバル期間数日文庫を開けますが、会員さんはやはり週末に集中します。ウイークデイにゆっくり普段目に留まらぬ本に出会える時だと思うのですが。さて、旅人は何人訪れますやら。
いつもお声掛けして反応がなく淋しいのですが、「若葉のころのおはなし会」、目で読むばかりでなく、耳に響く日本語の美しさはまた格別です。ゲストによる古事記とおはなし沙羅の創作文学です。Mさん達も修練の成果が大で気持ちよく聴かせてくれます。吉川さんの心にしみる朗読もおすすめ。

よい季節です。戸外で楽しむのも今ですね。お天気が続きますよう。2015/5月

半年遅れの読書術 Ⅰ

51GT4K4APRL._AA160_どなたかの寄贈本のようです。「新刊書ではなく、あえて刊行後1-2年経た本を中心に取り上げ」―て書いた書評を集めた本。面白い発想から企画された本であり、また選ばれた執筆者30人と彼らが選んだ本が魅力的だ。残念ながら、とてもすべての選ばれた本を読むことは叶わないが、なにか自分もそれを読んだような気がしてくるところが彼らの書評の見事さなのかもしれない。

荒川洋治ほか 著  日本経済新聞社 2005年10月第1版

解放老人―認知症の豊かな体験世界

41OiCf54ulL._SL500_SS115_以前、この著者の1997年出版の「コリアン世界の旅」という本を文庫から借りて読みましたが、忘れ難い良い本でした。この本もなかなか良い本。野村氏の目がとても暖かい。   著者は山形県南陽市の佐藤病院という精神科病院にある「重度認知症治療病棟」に長期取材して書いたという。録音機を使って録音したのだろうが、東北弁がいきいきとして凄い。題名がいい。「解放老人」の「解放」がポイント。佐藤病院の理事長が「地道に黙々と生きて来た人たちが、こう(重度認知症に)なると、個性がうわーっと出てくるんですよねえ」と言った由。ここに例示されている患者のとんでもない、したい放題の行動は、いわば永年常識や世間体や煩瑣な人間関係のなかで抑えられていた本音がわーっと溢れ出るということらしい。周囲の人・介護する人は大変だが、本人は自由を得て元気になる。看護師長の話―「ここで最後を迎えられるお年寄りは、たいてい穏やかに亡くなられます。」 末期がんにも苦しまず、安らかに永眠するということのようだ。 さて皆さんどうしますか、認知症になった方が幸福なんですかね。

野村 進 著  講談社刊  2015年3月第1版

50代から始める知的生活術

51MbZTLg+VL._SL500_SS115_この著者は32年前に「思考の整理学」なる本を書いて大ヒットした英文学の先生。驚くべきことは、今もそれが文庫本になっていろんな有名大学の学内書店でベストセラーになっているのです。この本は今年92歳になった著者が書いた本で、これもヒットするでしょう。私も年を取ったので、読んでみました。実に実用的ですぐ役にたつ本です。そもそも字が大きく、項目が沢山切ってあって老体には読みやすい。120頁には、「中年以降はーーー余計な本は読まないことです。」とあり、「参ったな、なるほど、そうか」なんて思ったりもしましたが。

実はこの人は「――の整理学」という本を次々に書いているようですが、つい最近「老いの整理学」という本も出されたのですね。この人はついに「整理学」シリーズで一生を生き抜くつもりらしい。ついでに「整理学の整理学」という本もだしたらどうですか?とおちょくってみたい気持ち。

外山滋比古 著  大和書房刊 2015年2月第1版

イスラム国の衝撃

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この著者の一族は学者が多く、父の池内紀さんはドイツ文学専攻のもと東大教授で、思い違いでなければ、私はずっと以前にこの人の本を文庫の感想文で書いた記憶がある。また叔父の池内了さんは天文学者。
この本は2015年早々の大事件になったイスラム国による後藤健二さん殺害事件の前に書かれたものだが、事件後に現れた多くのイスラム国論議のなかで、結局一番正確な事実を提供しているとして高い評価を受けたのがこの新書本であったようだ。正確で多面的な考察、バランスの取れた論評はさすが専門分野の学者。言葉も「イスラム」でなく「イスラーム」、「スンニ派」でなく「スンナ派」、「タリバン」でなく「ターリ-バン」となっている。結論として、中東は今後どうなるか。著者によるよると、残念ながら混迷はまだ深まるばかりのようだ。

池内 恵 著  文芸春秋新書  2015年2月第4版

阿片戦争 上・中・下

9784061311886         9784061311893         9784061311909

このところ、「マオ」(毛沢東を書いた長編)、「西太后」、と中国関係を読んできたが、やはり近代中国の大きなつまずきの始めは英国に完敗したアヘン戦争であり、これがどうしても気になるので、この本を入れて頂いたのだが、分厚い文庫本で3冊、合計約2000頁弱とあって、老眼の身にはちょっとコタエマシタ。

この本は第63版です。大変な人気図書なんですね。
陳舜臣の本は実は初めてですが、凄い筆力、エネルギーの人で驚きます。そのいきいきした描写・達意の文章、待てよ、誰かに似ているぞと思ったが、なんだ、司馬遼太郎じゃないか。

日本の歴史を書いた司馬遼、中国の歴史を書いた陳舜臣という双璧の組み合わせで考えると良いようです。まだ上巻の第1部しか読んでいませんが、アヘン貿易で巨利を得ようと近代化した商船で押しかけてくる英国とアヘンを輸入させまいとする清国(道光帝の治世)の闘いと絡み合い。

アヘン禁止担当の欽差大臣となった救国の英雄・林則徐も登場してきます。小説は厦門の豪商 連維材と厦門港に入港した英国商船アマースト号との絡み合いから始まっています。複雑なストーリーでスリル満点です。

陳舜臣 著 講談社文庫 2015年2月  第63版

西太后 秘録 上・下

51D3JK6IqeL._AA160_著者のユン・チアンは「ワイルド・スワン」「マオー毛沢東」などを書いた人で、これらの本の累計販売冊数は世界で1500万部という驚くべき数値。一部100円の印税と仮定してもなんと15億円です!ただしこれらの本は中国では販売禁止ですが。(著者は英国在住、原文は英語)   西太后と聞くと宮廷の奥深くで陰湿な権力を振るった女性という、あまりよくない印象がありますが、この本はユン・チアンが、そうではない、彼女が本当は中国の危機を救った救国の女性であったと主張するのが本書のテーマなのです。
西太后は正式には慈禧太后であり、清朝第7代咸豊帝の側室で、第8代同治帝の実母、第9代の光緒帝を養子にした養母ということになりましょうか。(複雑です)
清朝末期の中国の危機はアヘン戦争・アロー戦争・太平天国の乱・ベトナムをめぐるフランスとの戦争、さらには日清戦争も勃発。英国を始めとする帝国主義諸国の干渉・侵略に対し、中国側は全く対応すべき体制ができていなかった。
当時中国の税関の責任者に抜擢された英国人ロバート・ハートが曰く、「世界を見渡しても中国ほど弱い国はなく」、中国の軍事的敗北は歴代の為政者の「知性の欠如」がもたらしたもので、今この忠告に従わなければ、欧米列強は「開戦によって武力で強要せざるをえなくなるかもしれない」と。(p101)
歴代の皇帝は頼りにならない、そこで本来はなんの権力もない筈の慈禧太后が巧妙な術策を弄して実権を握って国の危機を救ってゆくという大ドラマが展開するわけです。
(維新を契機に急速な近代化を達成し、押し寄せる帝国主義の脅威を受け止め得た日本に対し、中国はまことにお粗末な態勢でした。纏足と宦官が中国の後進性の象徴でしょう。正直なところ、今頃、中国に日本の「侵略」を非難されると、どうしても「あんたがボサーッツとしていたからよ、自業自得でしょう」と言いたくなることがありますね。)
今たまたまNHK-BSで韓国長編ドラマ「奇皇后」というのを見ていますが、これは13世紀頃、中国を制覇した元に征服された朝鮮の「高麗」の宮廷を中心にした女性中心の1大ドラマで、いろんな点で西太后のいた北京の宮殿を想起させるところがあります。

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