月別アーカイブ: 2017年1月

『私の貧乏物語―これからの希望をみつける ために–』 岩波書店編集部編 岩波書店刊 2016 年9月第 1 版

これは貧乏を経験した、または経験中の、36 人 の赤裸々な個人の記録・独白・見識を集めた貧乏 話のオン・パレードで、内容は千差万別である。 古賀誠、亀井静香などの政治家も登場するが、貧 乏の極致と言う点では、沖藤典子・安田菜津紀さ んなどの話が心に残った。民進党の議員・福山哲 郎さんの話にも共感が持てた。最後の、孤児院で 育ち、ホームレスも経験した女性―鳥居さん(名

『戦争まで―歴史を決めた交渉と日本の失敗 ―』加藤陽子著 朝日出版社刊 2016 年 8 月 第1版

この著者加藤さんの前に文庫で入れていただいた 本は「それでも、日本は『戦争』」を選んだ」(小 林秀雄賞を受賞)で、今度の本はその続きと言っ て良いでしょう。 この本は中学・高校の生徒を集めて、加藤教授が 対話しながら作った本で、いわば生徒参加の共同 作品。生徒の名前も公表されている。主題は、日 本が太平洋戦争に進み無残な敗戦になったそのき っかけとして、①満州国の建設に関するリットン 調査団は一体何だったのか、日本の対応はどうだ ったのか、②日本がドイツ・イタリアと三国同盟 を結んだのはどういうことだったのか、③太平洋 戦争の前の日米交渉ではどんなことがあったのか、 この重要な 3 点を徹底的に再調査してみよう、と いうことである。 この 3 点は実に日本の開戦と惨憺たる敗戦の最も 重要なきっかけであり、個人的にはかねてから最 大の興味を持っていたことなので、読んでみた。 学者だけに、すべてに裏付けが明確で、大いに参 考になった。

『父母の記―私的昭和の面影―』渡辺京二 著 平凡社刊 2016 年 8 月第1版

この本を私が文庫で購入して入れて頂いたのは、 この著者渡辺京二にずっと興味を持って『逝きし 日の面影』などのその著書をいくつか読んできた からである。私は「選択」という雑誌を長らく取 って読んできたが、この雑誌は会員制で本屋には 売っていない。なかなか信念をもって編集してい る雑誌で書き手は原則無記名、その雑誌に名前入 りの連載『追想 バテレンの世紀』を 10 年以上に 亘って書き続けている筆者が渡辺京二さんで、今 の日本では希少価値の、一筋縄では行かぬ硬骨の 人物である。永年水俣病で有名になった石牟礼道 子さんの援助をしてきた人でもある。この本は、 彼が 86 歳になり自分の死を意識して書いたいわ ば『自分史』の一種であり、今流行の「自費出版」 に近いものであるとも言える。だから個人的な細 かい事実はやや退屈ではあるが、貴重な記録だな と思わせるところも多い。 焦点は、書名にあるように、何よりも父母=親は どうだったのか、交際した周辺の人たち、そして 特に大きな影響を受けた吉本隆明・橋川文三とい う有名人のこと、そして個人的に忘れることがで きない先輩・友人のこと。