『父母の記―私的昭和の面影―』渡辺京二 著 平凡社刊 2016 年 8 月第1版

この本を私が文庫で購入して入れて頂いたのは、 この著者渡辺京二にずっと興味を持って『逝きし 日の面影』などのその著書をいくつか読んできた からである。私は「選択」という雑誌を長らく取 って読んできたが、この雑誌は会員制で本屋には 売っていない。なかなか信念をもって編集してい る雑誌で書き手は原則無記名、その雑誌に名前入 りの連載『追想 バテレンの世紀』を 10 年以上に 亘って書き続けている筆者が渡辺京二さんで、今 の日本では希少価値の、一筋縄では行かぬ硬骨の 人物である。永年水俣病で有名になった石牟礼道 子さんの援助をしてきた人でもある。この本は、 彼が 86 歳になり自分の死を意識して書いたいわ ば『自分史』の一種であり、今流行の「自費出版」 に近いものであるとも言える。だから個人的な細 かい事実はやや退屈ではあるが、貴重な記録だな と思わせるところも多い。 焦点は、書名にあるように、何よりも父母=親は どうだったのか、交際した周辺の人たち、そして 特に大きな影響を受けた吉本隆明・橋川文三とい う有名人のこと、そして個人的に忘れることがで きない先輩・友人のこと。

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