猫のオキシトシン

冬の陽だまりの中、テミノがカタカタと風で揺れている。ふと引っ越し間もない頃を思い出す。
今は廃屋と化した病院の飼いネコであった野良猫のミーは。 高齢な女医の先生が亡くなった後、餌をやる人もいないまま野良猫になってしまいました。
自然豊かなこの地で台湾リスや残飯を漁って、たくましく暮らしているようでしたが、ある日我が家の庭先で口に何かを銜え転げまわっているミーを見ました、上顎に魚の骨が刺さってどうしても取れないみたい。 思わず私は猫の口に指を差し込み、歯に挟まっている骨を抜き取りました。骨が抜けてホットしたのか手を口の当て確かめるようにしてから足早に立ち去りました。
そんなことがあってから、口の中の傷を泡で囲うように癒しているミーが訪ねてくるようになり、その泡も消える頃には、私の手から餌を食べるまで懐いていました。それからは我が師のように私に付きまとい、片時も離れようとせず、息抜きに庭に出ると、リスや子鳥を捕まえては見せに来たり、お気に入りの手箕(テミノ)を左右に揺らして遊んだり、爪を立ててジーパンの上から這い上がってきたり、うっとうしくもあり戸惑うこともありました。

数年後には抜け毛も増え衰えが目立つようになってきた日から、消え入るように来なくなってしまいました。思い返すと、きっとお別れを告げに来ていたのではと思うと、何故あの時に撫でてあげなかったのかと悔やまれる思いに駆られます。

オキシトシンとは

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